はじめに
「なかなか応募が来ない」「採用してもすぐ辞める」
そんな悩みを抱える院長先生も多いのではないでしょうか。
採用の出発点は、“相手(求職者)が何を求めているか”を知ることです。
今回は、獣医師が就職・転職先を選ぶ際に重視する4つの軸を整理し、それぞれのメリット・デメリット、訴求のポイントを解説します。
① ワークライフバランス訴求
特徴:最も実施しやすく人気も高い。
近年の若手獣医師の多くは、「長く働ける環境」「プライベートとの両立」を重視しています。
勤務時間の見直し、シフト柔軟化、有給取得率向上など、比較的短期間で整備できる点は魅力です。
近年では、週3日休みの病院なども増えてきており、競合との人材獲得争いに拍車がかかっています。
ただし、人員が限られた状態で無理に休みを増やすと病院の生産性が下がるリスクがあります。
結果として、院長やベテラン層への負担が増え、経営バランスを崩すケースも。
★ 対策のポイント
- 繁忙期・閑散期でシフトを柔軟に調整する
- 定時退勤ではなく「平均残業時間の見える化」で改善を示す
- 完全週休2日でなくとも「年間休日〇日」を具体的に訴求
② 年収訴求
特徴:最も反応が早く出る。
給与条件を上げるだけで応募率は一気に上がります。
ただし、ここには大きな落とし穴もあります。
他院もそれに合わせて給与を引き上げるため、採用価格競争に陥るリスクが高い。
一昔前では初任給30万の病院は稀でしたが、今では標準か少し低いくらいになってます。
★ 対策のポイント
- ベースアップではなく「成果連動」「役職手当」で差別化
- 給与モデルを具体的に提示(例:3年目平均年収650万円)
- 年収よりも「昇給ストーリー」を重視して訴求
③ 専門性訴求
特徴:高度医療設備や専門領域をもつ病院
求職者の多くは「この病院で何が学べるか」を重視します。
特に若手層は、症例数の多さよりも“最先端に学べる環境”を求めています。
高度医療設備や専門領域をもつ院長からは応募が沢山くるとよくお伺いします。
ただし、幹部に専門性がない場合や、教育担当者が指導できない場合は逆効果です。
「学びたいのに教えてもらえない」とギャップが生じ、早期離職につながります。
★ 対策のポイント
- 担当科目・症例の得意分野を明確にする
- 教育体制(OJT・症例カンファ・セミナー補助)を具体的に記載
- 指導獣医師の紹介をHP・求人票で打ち出す
④ 裁量訴求
特徴:経営層・中堅層に刺さるハイリスク・ハイリターン型。
「自由にやらせてもらえる」「任せてもらえる環境」を求める層に刺さります。
一方で、最終的に院長の治療方針とぶつかり、早期離職に繋がりやすくなるというリスクも。
しかし、裁量を上手く与えられると、
「この病院で自分のスタイルを確立できる」と感じる強力なモチベーションになります。
★ 対策のポイント
- 明確な“任せ方”を定義(例:手術件数・診療方針の裁量範囲)
- 病院の方向性とズレないよう、定期的な1on1面談を実施
- 副院長・チーフ職など“裁量を可視化できるポジション”を設ける
まとめ
採用の正解は「どの軸を選ぶか」ではなく、
- “どの軸が自院の強みと一致しているか”を見極めることです。
- 短期的に採用効率を上げたいなら → 年収訴求
- 定着率を上げたいなら → ワークライフバランス訴求
- 若手育成・病院ブランドを上げたいなら → 専門性訴求
- 将来の幹部候補を取りたいなら → 裁量訴求
病院のステージや人員構成に応じて、訴求の軸を明確にすることが、
結果的に「ミスマッチのない採用」へとつながります。
