忙しいのに売上が伸びない…単価アップを実行するためのポイント
動物病院の経営でよくある悩みの一つが、「忙しいのに売上がなかなか伸びない」という問題です。
来院数が増えても単価が低ければ、利益は思うように伸びません。
そこで経営者が考えるのは「単価を上げること」ですが、従業員からの反発に悩む病院も少なくありません。
原価率高騰の背景と従業員の理解ギャップ
近年、医療材料や薬品の原価率は上昇しています。
そのため病院全体のコストも増加し、院長は「料金を見直さざるを得ない」と感じることが多いです。
しかし従業員側は、
「単価を上げる=飼い主に負担をかける」
「高くするとクレームになるのでは?」
と不安を持ち、料金改定に抵抗感を示すケースが多くあります。
このギャップが、単価アップの実行を難しくしているのです。
単に料金を上げるだけでは不十分
単純に診療費や検査料金を値上げするだけでは、飼い主に納得してもらえません。
重要なのは、従業員が飼い主の立場で納得感を持って説明できる体制を作ることです。
料金改定の理由を明確にする
飼い主に「価値」と「安心感」を伝える
従業員が自信を持って説明できる教育体制を整える
これが、単価アップ成功のカギとなります。
従業員への具体的な説明例①
飼い主への説明時の声かけ例
「近年、医療材料や薬品の価格が大きく上がっており、病院の運営コストが増えています。
これまでの料金設定では、良い医療を維持するのが難しくなってきました。
だからこそ、少し料金を見直し、○○ちゃんを守れる質の高い診療を継続できる体制を整えたいと考えています。」
付加価値を生む検査項目の拡充は“質”重視
単価アップの手段として、検査項目を増やす病院もありますが、闇雲に増やすだけでは逆効果です。
動物病院の付加価値は、「目の前の動物にとって最適な検査・治療を提案すること」にあります。
必要な検査だけを選ぶ
飼い主にわかりやすく丁寧に説明する
納得してもらい、信頼を築く
これにより結果的に単価アップも可能になります。
従業員への具体的な説明例②
飼い主への説明時の声かけ例
「SDMA検査は、猫に多い慢性腎臓病を早期に発見するのに有効です。
早く発見すれば健康寿命を延ばせます。進行後に発見した場合、治療が難しいこともありますので、定期的にチェックしましょう。」
このように、検査の目的とメリットをわかりやすく伝えることが重要です。
まとめ:単価アップ成功のポイント
原価率高騰を背景に料金改定は避けられないが、従業員の理解が不可欠
単なる値上げでなく、合理的な説明材料と教育体制を整える
検査項目の拡充は“数”ではなく“質”を重視し、最適な選択肢を提示
従業員が自信を持って飼い主に説明できる環境作りが、信頼向上と収益改善につながる
単価アップは院長だけの仕事ではありません。
スタッフ全員が価値を理解し、共に説明できる体制を作ることが、動物病院の経営を強化し、明るい未来につながります。