【開業医が陥りがち】「節税=経費で散財」は危険!本当に病院を守るお金の使い方とは?
こんにちは。
開業して数年。ようやく売上も利益も安定してくると、次にやってくるのが「節税」というテーマ。
「税金払うくらいなら、経費で使ってしまえ!」
その気持ち、すごくよく分かります。
でも――ちょっと待ってください。
そのお金の使い方、未来の自分を苦しめていませんか?
今回は、開業後数年経って利益が出始めた院長が気をつけるべき「経費の使い方」についてお伝えします。
1. 節税は大事。でも「散財」じゃ病院は育たない
まず大前提として、節税自体は大事な経営判断です。
必要な設備を入れる
福利厚生を充実させる
将来への投資を行う
こうした「意味のある経費」は、病院の未来をつくるための大切な資源です。
一方で、こんなケースは要注意。
経費で気前よく飲み会を開きまくる
キャバクラに通い詰める
両親や奥さんに、実質何もしていないのに高額報酬を出す
気がつけば、「節税」のつもりがただの「散財」になってしまっている病院、実は少なくありません。
最初は羽振りが良くても、スタッフが定着せず、経営が不安定になってしまう。
これ、けっして他人事ではないんです。
2. 経営者に求められる「我慢する力」
人間、手元にお金があると、つい使いたくなるものです。
でも、経営者にとって最も大事な能力は「我慢する力」だと思っています。
「節税だ」と自分に言い訳をして浪費をするよりも、ぐっと我慢して:
スタッフの賞与に回す
勤務環境を整える(休憩室・空調・福利厚生)
新人教育やマニュアル整備に時間とお金を投資する
病院のブランディング・広告・採用力強化に予算を使う
こうした投資を「未来の病院づくり」として捉えられるかが、長く続く病院と、短命で終わる病院の分かれ道になります。
正直、開業して数年は、「利益=自分の報酬」だと思ってしまいがちです。
でも、経営の初期にこそ「自分よりスタッフ、未来への投資を優先できるか」が、強い組織を作るカギなんです。
3. スタッフに還元できない病院に、人は残らない
よくある話ですが――
「うちの院長、飲み会の時は奢ってくれるけど、給料は一向に上がらない」
「毎年新車に乗ってるのに、私たちの年収はずっと変わらない」
こう思われてしまった時点で、スタッフの信頼はガタ落ちです。
結果、優秀な人から辞めていく。
そうなると、また採用費・教育費がかさみ、売上も下がる。
まさに「負のスパイラル」に入ってしまいます。
逆に、多少の節税チャンスを逃しても:
毎年少しずつでも昇給
繁忙期の手当やボーナスを支給
勉強会や資格支援に投資
こうした取り組みをしている病院には、人が集まり、辞めません。
そして、その積み重ねが「壊れない経営基盤」になるんです。
4. 経費の使い方で、5年後10年後が決まる
節税のために、お金を使う。
でも、その使い道が「一瞬で消える娯楽」なのか、「人と組織に残る投資」なのかで、5年後10年後の病院の姿は大きく変わります。
院内DX化(電子カルテ・予約・LINE対応)
採用力強化(HPリニューアル、求人広告、紹介会社)
院内マニュアル整備や業務効率化
福利厚生、給与、賞与の整備
これらはすべて、強い病院をつくるための「攻めの経費」です。
一方、キャバクラ・高級車・過度な飲み代・身内報酬は「守りのフリをした浪費」。
後者ばかりに走ってしまうと、いざ経営が苦しくなった時に、何も残らない。
5. まとめ:その経費、本当に病院のためになってますか?
開業医になって利益が出始めたとき、経費をどう使うか。
これはただの「お金の話」ではなく、「経営者としての在り方」の話です。
節税目的での支出も大切ですが、それが病院の未来につながっているかどうかを、常に自問してください。
上場企業の社長さんとお話する機会では、経営で何よりも大切なのは「利益はまず従業員に還元し、未来に投資すること」と言われます。
そうすることで、組織は強くなり、10年、20年と生き残れる病院になります。
ぜひ、目先の節税より「長期的な病院経営」を見据えて、お金を使ってください。
それが、「先生の理念や志を守るための唯一の道」だと、私は思います。