どこに開業するのが正解?答えは「客単価を決める」こと
動物病院の開業を考える獣医師の多くが、「どの場所で開業するか?」に頭を悩ませます。
しかし、本当に考えるべき出発点は、「自分がどんな医療を、どれくらいの価値で提供したいか」です。
客単価と地域特性の関係を理解することが、経営成功の第一歩になります。
■ 開業で最初に考えるべきは「場所」ではない
多くの先生が、開業相談で最初に口にされるのは次のような言葉です。
「〇〇駅の近くがいいと思っていて…」
「駐車場があって、通いやすい場所が理想で…」
確かに、立地は重要です。
しかし、それ以上に大切なのが“客単価の設計”。
動物病院は店舗ビジネス。
つまり、売上は以下の式で決まります。
売上=客単価 × 来院数 × 診察室・OPE室の数
そして、開業後に一番変えにくいのが「立地」と「価格レンジ」なのです。
■ 客単価で決まる!あなたの戦うべき場所
大まかな目安を挙げると、次のようになります。
● 15,000円以上の医療を提供したい → 都市部で勝負
都心や住宅地近郊など、所得層が高くペット支出意識が強いエリア。
求められるのは「サービスの質」と「専門性」。
待合室の快適性や接遇品質、ブランディングへの投資も欠かせません。
● 10,000円前後の医療を提供したい → 地方・郊外で勝負
家族単位での通院が多く、予防や一般診療中心。
求められるのは「気軽さ」と「安心感」。
高単価よりも信頼と通いやすさでリピートを増やす戦略が有効です。
逆に言えば、都市部で客単価10,000円では利益が残りづらい構造です。
家賃・人件費・広告費が高いため、
「頑張っているのにお金が残らない」という病院が生まれやすいのです。
■ 自分の医療スタイルを“数字で定義する”
「どんな医療をしたいか?」を感覚で語る先生は多いですが、
それを数値で定義できる人は少ないです。
以下のような問いを立ててみましょう。
診察1件に平均何分かけたいのか?
1日何件まで診るのが理想か?
1件あたりの検査・処置・投薬で平均単価はいくらか?
このように具体的に数字で考えることで、
「自分の医療スタイルに合う地域と価格レンジ」が明確になります。
■ 「安くしてでも集患」は悪手
開業初期によくあるのが、「価格で差別化しよう」という発想。
確かに一時的には来院が増えますが、
価格で来た人は、価格で離れます。
他院が少しでも安くすれば、簡単に流れてしまうのです。
一方で、納得感のある価格設定+丁寧な説明ができれば、
1人の飼い主がリピート・紹介を生み、安定的な経営につながります。
つまり、短期の集患よりも「適正価格で信頼を得る」ことが長期安定のカギです。
■ まとめ
「どこでやるか」よりも、「どんな価値を提供したいか」。
動物病院経営は医療であると同時にサービス業です。
飼い主が「この先生に任せたい」と思う価格帯と価値を明確にし、
それに最もマッチする地域で戦う。
この順番を間違えると、努力しても報われません。
まずは、“自分の客単価”を定義することから始めましょう。
